浄土真宗のお仏壇について


 浄土真宗の仏壇といえば、旧家の仏間に納められた大きくて豪華な金仏壇を思い浮かべます。金仏壇は、そもそもご本尊である阿弥陀如来の極楽浄土(光り輝く光明無量世界)をありのまま表現したものです。亡き人が生まれさせていただいた「お浄土」(仏教では天国とはいいません。)を偲ばせていただきながら礼拝しようとして作られたものです。金仏壇は浄土真宗の象徴でありますので、できれば金仏壇をお勧め致しますが、必ず金仏壇でなければならないということはありません。ただし、浄土真宗の形にあったものであることが必須条件です。
 お仏壇はそれぞれの宗派によって形に違いがありますので注意して下さい。浄土真宗用の金仏壇でもそれぞれ本願寺派(お西)用、大谷派(お東)用、高田派用などの派別に形がそれぞれ異なります(一般的に ご本尊をお迎えする須弥壇上の宮殿の形がそれぞれのご本山の本堂の形を模してあります。)ので注意してください。詳しくは、お手次のお寺や仏壇販売店にお尋ねください。
本願寺派・大谷派用仏壇写真はここ


 浄土真宗の仏壇は、迷える私たちをお救いくださる阿弥陀如来さまをご安置するために置くもので、もっとも尊厳な場所であり、家庭の中心となる場所です。うちは亡くなった人がいないから仏壇は不要だと考える方がいますがとんでもない間違いです。私たち仏教徒が日々生きる力のもとである如来さまのお慈悲に、私があうために、お寺のご本堂をそのままミニチュアにして家の中に置いたものです。ですから、お仏壇は、仏教徒が毎日すぐにお参りできるように家の中にお寺の本堂と同じ空間を作ったものです。ですから、飾付けもミニチュアの仏具ですがお寺の本堂といっしょです。
 お寺の本堂と仏壇は、大きさこそことなりますが、宗教的意味合いからは同じものなのです。その、ミニチュアのお寺の本堂である仏壇に、亡き人がいれば、ご本尊のおそば近くに、その法名を奉じさせていただいたうえで「阿弥陀如来」さまに手を合わさせていただくのであります。当然ですが、作法も、お寺の本堂での作法と同一でもあります。
このように、お仏壇は、お寺の本堂を小型化したもので、仏教徒が毎日お参りするためのものですから、仏教徒である以上は次男、三男等の別も無く、亡き人がいるかいないかも仏壇とは関係がありません。各自がその家々に仏壇を設けるのが本当なのです。


[ご本尊の迎え方]

本尊・脇掛の大きさ
種 別たてよこ
20代19.7 cm9.1 cm
20代特小桐17.0 cm8.5 cm
30代27.3 cm9.1 cm
50代34.8 cm12.1 cm
70代42.4 cm15.2 cm
100代51.5 cm18.2 cm
150代66.7 cm24.2 cm
200代79.0 cm29.4 cm
300代100.0 cm36.4 cm

 浄土真宗のご本尊(阿弥陀如来の絵像もしくは木像または「南無阿弥陀仏」の六字名号。ご家庭では絵像が一般的)は、お手次のお寺を通してか、さもなくば直接本山またはその別院(本願寺派別院一覧)に申し込んでいただき、お迎えします。お仏壇の大きさにより、「30代」、「50代」、「100代」といわれるように、ご本尊の大きさも異なりますので良く確認してください。なお、ご本尊の左右には、お脇掛けという軸(右側に「親鸞聖人の御影」か十字名号「帰命尽十方無碍光如来」、左側に「蓮如上人の御影」か九字名号「南無不可思議光如来」)を掛けます。
 ご本尊・脇掛けは仏壇店で求めるものではありませんので、本山から受ける旨を仏壇店に告げ、お仏壇に合うご本尊の大きさを尋ねましょう。なお、木仏等のご本尊の場合には「木仏点検」があり、仏具店で販売されているものではほとんど合格しません。本山で定められた仏師を紹介してもらいましょう。
 なお、ご本尊をお迎えしたときには、お寺さんをおよびして「入仏慶讚法要(入仏法要、入仏式、ご移徒(いし)、おわたまし、おひもとき ともいいます。)」を行ってください。この法要はおめでたい法要ですからロウソクは朱(朱蝋燭)や金色のものを用いるのが正式ですが、入手が困難でしたら普通の白いロウソクでもかまいません。なお、お布施の包みの水引きも紅白(熨斗無し。一般には販売されていません。)となります。
       ご本尊さま等を本山・西本願寺に郵送にて申し込む場合

       通販ショップでの「朱蝋燭」販売例(小さい仏壇での使用は危険です)



[仏具とお飾り]


 お仏壇は、お寺の内陣を小型化したものですから、その仏具やお飾りの仕方はお寺に準じています。しかしながら、仏壇の大きさによっては正式なお飾りは困難な場合があります。 ご本尊を中心とした浄土真宗のお仏壇で最低限必要な仏具といえば、「仏飯器」、「三具足(「香炉」、「花瓶(かひん)」、「ロウソク立て」の三つをいいます。)」、「打敷(うちしき)」、「キン一式」、「経本(聖典)」、「御文章(ごぶんしょう)」です。 茶湯器は用いません。他宗では、お茶やお水を供えることがありますが浄土真宗では供えません。お仏壇が中型以上の大きさでしたら金灯籠(かなどうろう)、瓔珞(ようらく)、輪灯(りんとう)というお飾りも揃えてほしいものです。なお、仏具の種類(色や形)やお飾りの形もそれぞれ同じ浄土真宗でも各派によって異なりますので注意して、不明の点はお寺さんにご相談してください。
なお、浄土真宗本願寺派の本式のお飾りと仏具の配置は左図のとおりです。図では、年回法要など特別な法事用に前卓上は三具足ではなく五具足(香炉を中心に両側にロウソク立て一対、花瓶一対)としています。

      
 [小型仏壇の荘厳見本はこちらです]

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[お給仕について]

 お仏壇のお給仕の順序は、金灯籠・輪灯に点火、ロウソクに点燭、香炉に供香(線香の場合には、立てずに適当な本数を適当な大きさに折って横にねかせる。)、そして朝は、炊き立てのご飯を供えます。
浄土真宗では お茶や水はもちろん霊供膳、カゲ膳といわれる小さなお膳は供えませんので注意してください。
なお、お供えしたお仏飯は、昼までにお下げし、家族でいただきます。
 花瓶には適当な花を供えます。ただし、毒やトゲのあるもの、悪臭のある花、造花等の造り物の花は供えません。
 華瓶(けびょう、本願寺派のみ)には 樒(しきみ)その他の青木をを立てます。花瓶の水は毎日取り替えましょう。お供物をお供えするときは、魚や肉などの生臭物を避け、餅、せんべいなどのお米を原料としたもの、お菓子、そして果物をお供えすればよいでしょう。
 お仏壇の準備ができたら、家族そろって合掌・礼拝をし、続いてお勤めをします。合掌・礼拝時には「南無阿弥陀仏」と数回称名(お念仏を声に出して)します。なお、お勤めとは「正信偈(しょうしんげ)」やお経を読誦することをいいます。 ここで注意したいのは、お勤めをしないで合掌・礼拝だけを行う場合に、決してキンをチンチン鳴らさないということです。キンは、読経等の際に調声人(ちょうしょうにん)が出音の音程を合わせ、また他の周りの者に読経の速さを知らせるための仏具で、定められた作法に従い定められた場所で使用するものです。まちがっても呼び鈴のようにチンチン鳴らさないでください。
 ローソクの火を消すときは、息で吹き消すのではなく、専用の小さなウチワか手の平であおいで消すようにします。ただし、和蝋燭の場合は、あおぐと火が散って大変危険ですので専用の芯切り鋏で芯を切り消すか芯切箸ではさみ消します。
 仏壇の構造が二重扉となっているものは、日中は内扉だけを閉め、就寝前に火元を点検のうえすべての扉を閉じます。
 よそさまからのいただいたものをしたときには、手をつける前に、必ず仏前にお供えしましょう。手を合わせ、「ありがとうございます」という感謝の心の営みが大切です。

通販ショップでの「木蝋」販売例その1なお、本願寺派の仏壇では蝋燭を消した後は、木蝋[もくろう](朱塗りの木製ローソク)を立てるのが正式であります。
通販ショップでの「木蝋」販売例その1通販ショップでの「木蝋」販売例その1    「木蝋」販売例その2「木蝋」販売例その2

「木蝋」販売例その3

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木瓜菖蒲型 3.5寸 7点セット販売例 木瓜菖蒲型 3.5寸 7点セット販売例


[置き場所・向きについて]

仏壇は北向きに安置してはいけないなどと言われていますが、これは直射日光があたるなど日当たりや風通しの具合からきているもので、他に理由はありません。阿弥陀如来を安置してあるお仏壇は、家族の心のよりどころですから、家族そろってお参りしやすい場所に安置することが一番です。向きや方向は関係ありません。ただしお仏壇の高さは、合掌礼拝時にご本尊である阿弥陀如来が目より少し高い位置になるように、見上げるようにして、見下ろすことのないように工夫してください。

[お仏壇に入れてはならないもの]

 他宗の仏像、お札、故人の写真など詳しくはここをクリック

[購入時期について]

 「お仏壇を早く買うと死ぬ」などという迷信がありますが、昔から「お仏壇の無い住まいは家とは言わない。それは小屋である。仏壇が入って初めて家といえる」といわれています。お仏壇を買う買わないで死ぬ時期が変わるものではありません。死ぬ時は死ぬのです。いつ命が終わるかわからないこの裟婆世界で、仏さま(南無阿弥陀仏)を拝んでお浄土に生まれさせていただくのと、仏さまを拝まないまんま地獄に落ちていくのとどっちがいいか、よくよく考えて一日も早く真実の教えに合わせていただきましょう。
 また、よく本家には仏壇がありますが、私のうちは分家ですから仏壇は要らないのでは?という質問を受けますが、仏壇は仏教徒としての必需品です。分家にもテレビや電話や冷蔵庫があるのと同じです。それぞれの家庭の心のよりどころです。分家も本家もありません。
 ただ、仏壇がない家の場合に身内に不幸があったときには、その後の仏事を営むうえで、当然に仏壇が必要となってきますので、そのために急いで求めるというケースが多いのも残念ながら現実ようです。ただ、これが正しい姿では決してありませんので、結論としてはお仏壇のない方は、なるべく早目に求めて阿弥陀如来さまをお迎えして、日々その尊いみ教えを聞きつつお徳を讃嘆する日暮をしていただければと願うばかりでございます。


ご本尊は本山からお迎えしましょう



良くある質問

1.お仏壇の清掃と「おせんたく」について

 お仏壇は、汚れたからといって、洗剤をつけてゴシゴシ洗えるものではありません。掃除の仕方について十分に知っておかねばなりません。
 通常の掃除では、主に毛バタキを用いてほこりを払います。その際に仏具を落として仏壇に傷を付けることの無いように、内部の仏具をとり出した後に、毛バタキで仏壇と仏具のホコリを落とします。漆ぬりの部分は、すぐに傷がつきやすいので、やわらかい布やシリコンクロスなどで、ていねいに汚れを落とします。金箔を貼ったところや金粉を吹き付けたところ、そして金メッキの仏具は、なるべく直接手をふれないで、毛バタキで軽くはらうようにします。布でゴシゴシは厳禁です。なお、真鍮製の仏具に関しては、専用の真鍮みがきなどが仏具店で販売されていますので、これでみがくようにします。
 また、お仏壇が古くなり汚れもひどい仏壇は、専門の仏具店に頼んで、きれいに修復することができます。一般にこのことを「仏壇のおせんたく」いいます。
おせんたくは、汚れを取り、剥がれた漆の部分をぬり直し、金箔などもきれいに押し直しますので、本当にきれいになります。ただし、費用も相当高額であり、今日のような使い捨ての時代の感覚からすると、新しく買い替えた方が安くつく場合もあるかもしれません。現実に費用は新しく買い替えるのとほとんど変わらない旨聞いております。
 最終的に決めるのは皆さん方ですが、お寺やご親族とも相談し、よくよく考えてお決めいただきたいと思います。なお、おせんたくを終えた仏壇が帰ってきたときには、お寺さんをお招きして、みんなでお祝いとご本尊を新しくなったお仏壇に遷座する法要をおつとめます。


2.法事のときに仏壇を別の部屋に移動しても良いでしようか

 今日の住宅事情を考えますと、やむを得ないことであり、特に支障のあることではありません。ご法事の参詣者がお参りしやすいようにお仏壇の向きを変えたり、他の広い部屋に一時的に移したりすることはやむをえないことだといえましょう。
 ただし、お仏壇は一般の家具とは異なり日常生活の中心的存在ですから、ことさらに丁寧に扱うのはもちろんのこと、お仏壇を移動するということは、当然にご本尊をも移動することになりますから、移動の前後には、最低限合掌礼拝して移動するようにします。お寺では、ご本尊移動の都度に遷座法要を行うくらいですから、よくよく心得て移動して下さい。


3.法事のときの仏檀のおがざりとお供えについて

 法事にあたっては、当然のことですが、まずお仏壇の内外をきれいに掃除し、荘厳(おかざり)も、法事らしく整えねばなりません。  
そして仏具を三具足から五具足へ変更します。(花瓶、ローソク立て、香炉の配置は、通常は向かって右からローソク立て、香炉、花瓶という三具足ですが、法事の時には、しまってあるローソク立てと花瓶を出して、五具足(向かって右から花瓶、ローソク立て、香炉、ローソク立て、花瓶)で行なうのが正式です。)
次に、日常はしまってある打敷(うちしき)を出し、上段の上卓や中段の前卓に敷きます。(中陰から三回忌ぐらいまでは、正式には銀欄または白の打敷を用い、七回忌以後は、赤や金襴の打敷を用いて荘厳さを強調します。)
仏花も三回忌までは赤など華美な色はさけ、七回忌以後は、花に赤をまじえます。ローソクも三回忌までは白色を用い、七回忌以後は朱色のロウソクを用います。(朱ロウソクの入手が困難なときには、白色のロウソクで代用します。)
過去帳を仏壇の引きだしに保管してあるときなどは、これを取り出し、故人のところを開いて、仏壇の最下段右側に置きます。
お仏飯とお餅やお菓子、季節の果物などもお供えします。ただし、いくら故人の好物だったといっても、いわゆるナマグサものは供えないようにします。 また、地方によっては参詣者がお供えを持ちより、そのお供え物をあとで「おさがり」として参詣者全員に配るという風習がありますが、そのような場合のお供えは、当然にたくさんになりますので仏壇の正面や左右にならべることになりますが、お寺さんのおつとめや焼香のじゃまにならないように気を使い、別に壇を設けたりしたいものです。
線香とマッチを用意し、できれば焼香用の香(香盒にいれて)、香炉、焼香盆を用意します。焼香盆がないときには、小さ目のお盆等で代用します


4.「お盆」のときの仏檀のおがざりとお供えについて

 お盆独特の飾り方があるのではないかと思われている方がいらっしゃいますが、浄土真宗では「お盆」だからといって特別なお飾りはいたしません。これは「新盆」の場合も同様です。
 確かに一部の風習(他の宗派など)では、精霊棚(しょうりょうだな)を作って、お膳を用意し、ナスとキュウリにおがらをさして、牛と馬に見立てたり、迎え火、送り火といったことをしたり、提灯・灯篭を飾ったりするようですが、浄土真宗ではそういったことは一切いたしません。なぜなら、浄土真宗では、故人は全て阿弥陀さまの極楽浄土にご往生しているので、お盆に霊が帰ってくるという発想は無いからです。
したがって、浄土真宗では一般の法要と同じように、花を差し替え、餅、菓子、果物などの供物を仏前にお供えし、前卓には打敷を敷けばよろしいでしょう。なお、精霊棚が無いのでお盆のお経を「棚経」という言い方もしません。
 お盆の前の時期になるとメール相談でで、「初盆にはどのようなお飾りをすればよいのですか」とのお尋ねの方が多いです。
 これはお盆独特の飾り方があるのではないかと思われているからでしょう。確かに一部の風習(他の宗派)で、先に記した精霊棚・お膳などがあるようですが、浄土真宗ではそういったことはしないで、一般の法要と同じように、菓子、果物といった供物を仏前にお供えし、前卓には打敷を敷けばよろしいのです。
 そもそもお盆とは、仏弟子の目連尊者が餓鬼道に墜ちた亡き母を救おうとして、その母に食物を与えるのですが救われず、お釈迦さまの導きで衆僧に供養して初めて救われた(その日が7月15日)−という故事から起こった行事です。すなわち、亡き母や特定の先祖に供物を捧げるというのでなく、自らが深く仏法に帰依して、限りなき仏さまのおはたらきを仰いでゆくということです。亡き方をはじめご先祖方のご恩に報いる道はまず私自身がお念仏を慶ぶ身となることです。報恩の思いから仏法を聞かせていただき、阿弥陀如来のお力によって救われていく身の幸せを慶ぶのが浄土真宗でのお盆です。
 ですから、精霊棚を設けることもなく、ご本尊の阿弥陀如来さまに心から信順し、お供え等を行って下さい。お盆時期は13日から15日(地方によっては13日〜16日)にかけてがピークと言われていますが、決して仏さまが13日に来て、15日(16日)に帰るなどというものではありません。いつでもどこにでもいらっしゃるのが仏さまですから、私たちのカレンダーの都合で、あるときに「さあこい。」そして数日したら「さあ帰れ!」ではおかしいでしょう。それも地方によって、7月であったり、旧暦であったり、月遅れの8月であったりバラバラなのです。
 昔の故事から発せられた、仏教習慣と心得、亡き人をご縁として自分と仏教を考える日としてください。
 お盆と言えば、いわゆる“先祖供養”と考え、しかも“特定の先祖のために”供養するもののように思いがちです。しかし、特定の先祖を追慕するにしても、そのお心を仰げば仰ぐほど、数限りないご先祖によってこの私のいのちが恵まれたことを慶び、仏法を依り所に力強い人生を歩むことの大切さを思い知らされます。したがって「先祖のために供養する」というのではなく、ましてや先祖が戻ってくる“日”にこだわる必要もありません。先祖が戻ってくる“日”があるのではない。先祖への感謝と仏法を慶ぶ週間としてください。


5.仏壇はいつごろから安置するようになったのでしょうか?

 今からおよそ千三百年ほど前に記された『日本書紀』の中でも、天武天皇十三年(六八五)三月二十七日、「諸国の家毎に仏舎をつくりて、すなわち仏像および経を置き、礼拝供養せよ」という天武天皇の詔をみると仏壇の歴史の古さを感じます。ただし、多くの一般家庭が仏壇を安置して礼拝するようになったのは、江戸時代において徳川幕府がキリシタン対策として実施した「宗門改め」により、各家庭での仏壇安置を義務付けたことによります。
なお、浄土真宗では親鸞聖人のご在世当時より「南無阿弥陀仏」のお名号を掛けて礼拝する習慣が始まっています。


6.仏壇でなく、床の間等を仏壇風にしても良いでしようか?

 別にかまいません。お寺の座敷などでも見かけることがあると思いますが、床の間に「南無阿弥陀仏」のお名号を吊し、三具足が置かれていることもあります。欲を言えば、床の間に二、三段の「壇」を設けて、ご本尊を安置し、仏具を配置すると良いでしょう。また、仏壇そのものを床の間に納めるとか、造作を加えて床の間を仕込み仏壇にするいうこともよいと思います。


7.家に仏壇が2つあるのですがどうすれば良いでしようか?

 一軒の家に仏壇が二つあるという相談ときどきあります。一人っ子どうしで結婚されたときなど妻側と夫側の仏壇があるとか、親戚の家で跡がいないために引き取った結果2つになったとか、家族が以前に個人的に他の宗教に入信したためとか理由はさまざまです。しかしながら、仏壇はその家の中心的存在であり精神生活のよりどころですから、やはり仏壇が複数存在するのは如何なものでしょうか。結論として、ひきとった仏壇は思い切って処分されることをお奨めします。
 お寺または自宅で法要の後、仏壇仏具店またはお寺に処分をお願いするのがいいと思います。その場合、すべてを処分してしまうのではなく、代々の先祖の記録が記されている過去帳は残すか転記しておいて、家の仏壇の引き出しなどにしまっておくようにします。このときには、後の子孫の方が先祖記録を混同しないように過去帳には必ず続柄を記しておくようにします。
 一般的に同じ宗旨ならばこれでよいのですが、そうはいかないケースもあります。宗旨の異なる仏壇があるケースです。この場合もお寺と相談して、前記の例のようにまとめるか、またはその宗旨のお寺や宗教団体にひきとってもらうことになります。いずれにいたしましても、後々の子孫が困ることのないように今のあなたの代ではっきりしておかなければならないということです。


8.仏壇を買い替えますがご本尊はどうしたらよいでしょうか?

 仏壇を買い替えるときに、ご本尊も新しくお迎えするのかどうかという事が気になるのですね。この場合、基本的には代々大切にお給仕してきたご本尊ですから、たとえお仏壇を新しくしたからといって、ご本尊を新しくする必要はありませんし、むしろ慎むべきでしょう。もし、ご本尊が傷ついたりこわれたりしているようでしたら、仏壇店で修復することができますので仏具店やお寺に相談してください。
 ただ、修復不能であったり、仏壇の大きさが異なり新しいご本尊が必要なようでしたら、これはもう新しいご本尊をお迎えするしかありません。なお、古いご本尊はお寺にお願いして処分していただくか、ご本山で処分していただきましょう。いずれにいたしましても、お寺とは密にご相談ください。


9.宗派の異なる人の戒名などを過去帳に書き入れても良いでしょうか?

 過去帳は、日々の礼拝の対象となるものではなく、あくまで記録ですから、宗派の異なる方の戒名などを書き入れてもかまいません。ご夫婦が同じ宗派ならともかく、異なる宗派の場合など一方の親だけ書かないというのは寂しいものです。自分につらなるご縁の方々の法名・戒名などを記載してもかまいません。ただし、後の子供たちがご先祖の仏事を営むにあたり混乱しないように、きちんと俗名やどういう関係の人かという続柄を記入しておいてください。


10.ご本尊の「ご点検」とはどういうことですか?

 浄土真宗のご本尊は、阿弥陀如来さまです。そして、そのお姿や形は浄土真宗のみ教えにあっていなければなりませんが、その正しい浄土真宗のご本尊という判断は簡単なものではありません。阿弥陀如来さまのお姿を絵に表し掛け軸にした絵像の場合には、お手次のお寺を通して本山(西本願寺)参拝部法物係より下付してもらうため問題は生じませんが(絵像を仏具店で購入するのは誤り)、お木像の阿弥陀如来さまの場合には、特に判別が困難であり、ご本山の参拝部で正しいものかどうかを確認してもらわねばなりません。このことを「ご点検」と呼んでいます。木像の場合は本山指定の仏師によるもの以外の一般的に仏具店で購入なさったお木像ではこの「ご点検」は通らないと思われますので、お迎えするときによくよく注意が必要です。ご本尊の正否は、み教えとかかわる大切なことですから、必ず正しいご本尊をお迎えするよう注意してください。




お仏壇 本願寺webTVより(リンク)

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[浄土真宗の仏事に関する(私の)推薦図書のご案内]
(お近くの本屋さんでも注文できると思います。500円から2千円までのものです。)
「仏事のイロハ」  本願寺出版社  →本願寺出版社出版物案内(リンク)

・「浄土真宗のお仏壇」仏教文化研究会編   探究社  →探究社HP
「お内仏のお給仕」真宗仏事研究会編   法藏館     →法藏館HP
・「浄土真宗と親しくつき合う本」野々村智剣 他著  探究社
・「浄土真宗門徒のたしなみ」(教養編) 藤岡正英 著 探究社
「門徒もの知り帳」(上)(下) 野々村智剣 著 法藏館    →法藏館HP
門徒もの知り帳 門徒もの知り帳
・「浄土真宗のおつとめと心得」 池田書店
「よくわかる仏事の本 新版浄土真宗」よくわかる仏事の本 新版浄土真宗」   世界文化社    →世界文化社のHPへ


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